求められる技術提案や創意工夫にデジタルサイネージは有効か?

建設工事の入札方式で総合評価方式というものがありますが、ご存知でしょうか。総合評価方式を説明する前に、まず、もっとも一般的で広く用いられている一般競争入札について説明します。一般競争入札とは、公共工事などで工事施工業者を決定する方法の一つで、発注者が必要な情報(図面や仕様書などの設計図書)を公開し、それに対して受注を希望する各業者が金額を提示し、最も安い業者が受注する、という方式です。金額を提示する行為を入札といいます。入札前に質問期間が設けられていたり、現場での説明会があったりする場合もあります。これに対し総合評価方式は金額の提示とともに、技術的な提案を行い、金額+提案の総合点にて受注者を決める方式です。 一般競争入札はもっとも安い金額で工事を施工できる業者が受注者となるのに対し、総合評価方式では金額だけでなく、技術力も評価されるのです。かつての公共工事は一般競争入札が多く、安い金額で施工できる業者が受注していたため、品質の確保や施工中の創意工夫は最低限のものになることが多かったのですが、総合評価方式では金額は高くても品質の確保や創意工夫に力を入れている業者が受注することも多くなってきています。安い金額でも環境や安全面への配慮も最低限で品質も上等とは言えないものと、多少高くても環境面への配慮や抜群の品質のもの、どちらがいいかということで、現在の公共工事では通常の工事は一般競争入札、大規模なものは総合評価方式がとられることが多いです。  

総合評価方式ではどんなことが評価されやすか?

総合評価方式では金額以外のことも評価されるとお話しましたが、どういったことが評価されるのでしょうか。最近では、働き方改革が盛んに取り上げられることが多いですが、週休2日制などの導入も総合評価方式での加点になる場合が増えてきています。そのほかには安全面の確保として熱中症対策や騒音・振動対策などの基本的なことから、災害時の対策などを評価することもあります。自然環境への配慮やイメージアップ活動なども評価対象となることが多く、再生材の利用や現場でのCO2排出抑制、現場広告によるイメージアップや近隣の清掃活動の実施などが多く実施されています。また、技術提案も当然評価対象で、IT技術の導入による工程管理や衛星を活用したレーダー計測、工業用ダイヤモンドの活用など様々なものがあります。 各社、様々な技術開発を行っており、建設業界でも技術革新はかなり早いスピードで行われています。しかし、最新技術をなんでも使えば良い、という訳ではなく、現場規模に対して過剰なもの、話題性だけを狙った実用性のないものなどは税金を使い実施される公共工事では望ましくありません。総合評価方式での加点を狙うのであればしっかりと発注者の意図を汲み取り、発注者や近隣住民が求めるもの対応した技術提案や創意工夫を行うことが必要です。 では、どういった技術提案や創意工夫を行うことが求められているのでしょうか。これは一概には言えず、例えば、交通量が多く夜間の一部の時間しかできないような道路工事であればスピードが求められますし、小学校に隣接する現場であれば子供たちへの配慮や安全性の十分な確保が求められます。現在実施されているオリンピック関連の工事であれば、海外へのPRにもなるような日本を代表する最新技術の利用なども求められるかもしれません。このように、各現場にて求められることは違いますが、逆に同様に求められることもあります。安全、品質、イメージアップなどについてはどの現場でも必須です。  

注目のデジタルサイネージ。その理由とは?

こういった事情を踏まえたうえは現在注目されているのがデジタルサイネージの導入です。デジタルサイネージを導入するという提案を行うことで総合評価方式での加点となったという話を聞きますが、デジタルサイネージの導入でどういった加点が狙えるのでしょうか。先ほど、すべての現場で安全、品質、イメージアップが求められている、という話をしましたが、デジタルサイネージの導入でこれら全ての要求にこたえることが可能です。他の現場での事故事例や現在の温湿度を表示することで、事故防止や熱中症予防につながります。温湿度管理は品質確保の上でもとても重要です。近隣へ向けたデジタルサイネージでは現在の工程や騒音・振動の状況を表示することで近隣への説明責任を果たせることができ、必要に応じて注意喚起も可能です。近年増えている外国人労働者や高齢労働者へも映像による説明ができ、品質向上に貢献することができます。また、自社の広告や工事内容を説明したイラストマンガなどの映像を流すこともでき、子供にも分かりやすく工事内容を説明でき、イメージアップを簡単に行うことができます。 最近はデジタルサイネージを設置した現場の話を聞くことも増え、すでに多くの現場で導入が始まっているのだと思います。  

デジタルサイネージの導入が急速に進んでいる理由とは?

デジタルサイネージ以外にも様々な最新技術がある中で、デジタルサイネージの導入が進んでいるのはなぜでしょうか。まず、デジタルサイネージはほとんどすべての建設現場に設置が可能だということです。たとえば、衛星によるレーダー測量はそもそも測量を行う現場でしか用いることはありませんし、通常の現場であれば普通に測量をすれば事足ります。海岸線や人が入っていけないような場所でこそレーダー測量はその能力を発揮しますが、そういった現場は建設工事のごく一部です。デジタルサイネージであれば、道路工事、高層ビルの新築、競技場の改修、戸建て住宅の新築などほとんどどんな現場にも設置が可能で、現場の種類を選ばず、効果を発揮します。従来の朝礼看板の代わりに設置することができることから、ほとんどすべての建設現場に適したツールであると言えます。 次にその拡張性の高さがデジタルサイネージの導入が進んでいる理由でしょう。デジタルサイネージはあくまでモニターであり、そこに映すものを変えることで様々なことに対応可能です。図面や工程表をアップで表示すれば現場における技術的ツールとして使用できます。天候や温湿度を表示すれば現場で共有すべき情報を連絡することが可能です。子供向けのアニメーションや完成予想パースを表示させれば近隣に対するイメージアップにもつながります。さらに、他の最新技術と連動して使用することも可能です。すでに現場で使用され始めている施工管理アプリと連動させればデジタルサイネージの大画面で工程管理を共有できますし、自社のシステムと連動されてTV電話会議を行うことも可能かと思います。デジタルサイネージ単体での有用性だけでなく、他のツールと連動して使用できる拡張性の高さはデジタルサイネージの導入を普及させていることでしょう。  

技術提案・総合評価方式の今後は?

AI技術やIoT技術の進歩により建設現場でも様々な技術革新が行われています。今後、建設現場を大きく変えてしまうような技術もあれば、建設現場への導入は現実的には不適切な話題性だけの技術もあります。今後、これらの技術の中からどういった技術が実際の現場に反映されていくのか、これを予想する上では総合評価方式で何が加点になっているのか、――つまり、どういった技術提案や創意工夫が求められているのか―― がヒントになるかもしれません。発注者や近隣住民がどういったことを求めており、どうすれば喜んでくれるのか、目をみはる様な最新技術じゃなくても満足させられる技術提案や創意工夫ができると思います。
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Questar

見える化アプリ開発、業務用アプリ開発、オフショア開発会社として、2012年クエスタ株式会社設立された。建設業界の現場のニーズに応えるIoTをハードウェア、ソフトウェアの両面の開発。