コンテックの意義と重要性 建設業界のIT化について

コンテック 造語の由来

みなさんはフィンテックという言葉をご存ですか。IT(情報技術)を駆使した金融サービスの創出のことで、金融(Finansial)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。2008年のリーマンショック以降に広まったとされています。電子マネーによる決済や送金、資産運用などで新サービスが登場し、スマートフォンを使った決済は、かなり広まってきています。ブロックチェーンを活用したサービスも登場し、最近ではビットコインに代表される仮想通貨が話題になることが多いです。聞いたことある人も多いと思います。 では、コンテック(Con-Tech)はご存じですか。こちらは金融業界のIT化がフィンテックなら、建設業界のIT化がコンテックです。建設(Construction)と技術(Technology)でコンテックです。IT技術の目覚ましい発展により各業界でIT技術の取り入れが進んでいます。スマートフォンは今や当たり前のようにみんなが所持していますし、電子書籍なども定着してきました。  

建設業界へ押し寄せる先進化の波

業界によってはずいぶん昔からIT技術を活用し、利便性が向上していたのですが、建設業界のIT化はかなり遅れていました。これだけIT技術が発展した現在においても、未だに紙の伝票を使用していたり、手書きで作成する書類があったりします。建設業はものを作る事業であるため、実際に人の手や目で作業をすることが多くなるのは理解できますが、他の業界に比べて、あまりにもIT技術の利用が遅れているように感じます。業界のIT化が進まないことに焦りを覚えた国は、コンテックを進めるために、i-Constructionという活動を推奨し、IT技術の導入による生産性向上を目標にしています。建設投資額は、平成28年度は約52兆円で、かなりの規模の業界です。建設業就業者数も500万人近くいます。こういった大規模な業界の改革を国も進めたいと思っています。  

建設業界を取り巻く先進化への問題点

なぜ、建設業界のIT化は進まないのでしょうか。何点か理由はあるものの、大きな理由は2つあると私は考えています。 一つ目は、現場作業員の問題です。かつて3K(きつい、危険、きたない)と言われ、若者に人気がなかった現場作業員ですが、現在でも人気がある職業とは言えません。業界全体として若者の就業率が低く、平成28年度現在で33.9%となる約3割が55歳以上となっています。全産業での55歳以上の割合は29.3%なので、他の産業に比べ建設業界の高齢化が著しいことがわかります。同様に29歳以下は11.4%と約1割に留まり、全産業の29歳以下の割合である16.4%を大きく下回っています。IT技術の利用はどうしても若者を中心に普及しやすく、高齢化した作業員が多く、若者の少ない建設業界では普及しづらいのも納得できます。また、人材不足を解消するため外国人技能実習生として外国人労働者を受け入れている現場も多くありますが、こういった外国人に最先端のIT技術の活用を期待するのは難しいです。 二つ目の理由ですが、これは工事の発注者側に原因があるのではないかと思います。平成28年度の建設投資額約52兆円の内、民間投資額は30兆円で、政府投資額が22兆円となっています。建設工事は公共工事が多いため、これはほかの産業には見られない特徴です。公共工事の発注は行政機関が行い、工事内容を含む仕様については行政機関が設定します。その際に最新技術の導入を条件とする行政機関はほとんどないと思います。どうしても最先端の技術は民間から官へ広まっていくものですので、公共工事の割合が高い建設業界ではIT技術の導入は遅れてしまうのでしょう。 その他にも理由はあると思いますが、コンテックが普及しないのは、この二つが大きな理由だと考えます。それぞれの理由に対する解決策を模索し、さらなるコンテックの普及を行うためにはどうすればよいでしょうか。  

建設業界が革新するために

現場作業員の高齢化や人材不足を解消するためには、若者に人気のある職業として新規人材の確保が重要です。そのために政府が主導となり建設業界の働き方改革も進めています。完全週休2日制を目指す動きが盛んで、国が発注する工事においても、完全週休2日制が条件となっているものが出てきました。国土交通省が全国8ブロックで開催する2018年度の上期「ブロック監理課長等会議(入札契約担当課長会議)」でも、テーマは担い手3法の着実な運用と週休2日制の推進です。こうした働き方改革や賃金の確保により新規人材の流入を期待したいですが、これは一朝一夕でどうにかなるものでもありません。新規人材の教育も必要で、解決に時間がかかる問題です。では、当面どう対処するのか。現在の人材で事業を進めていくことになりますが、コンテックによるIT化を拒否していては他の産業や業界内で後れを取ることになります。他の業界はフィンテックに代表されるIT化を進め、そういった業界は若手人材も流入しています。週休2日制等の働き方改革を実行するためにはIT化による高効率化が不可欠でしょう。公共工事の落札条件にもi-Construction が追加されつつあります。IT技術を受け入れる必要があると同時に、高齢化した作業員や外国人労働者でも扱いやすいIT技術の開発が求められます。  

コンテックの意義と重要性

二つ目の問題である発注者側の意識改革ですが、これはすでに解消されつつあります。先述したように、週休2日を条件にした現場やi-Constructionを条件にした公共工事が増えてきています。まだまだ、国が発注する大規模な工事に限定されていますが、今後は都道府県や市町村レベルの工事にも波及する流れになっているので、近いうちに当たり前の条件となるでしょう。総合評価方式の入札も増えており、今までの価格だけの入札から、最新技術の導入や環境への配慮が重要になってきています。このことからも、コンテックの波に乗れない企業は淘汰されていくことになり、さらに業界のIT化は進んでいくことでしょう。これは、他の業界がすでに経験した流れであり、公共工事が多い建設業界は数年遅れて同様の流れが来ている訳です。  

先進化が建設業界の未来を切り開く

フィンテックに代表される金融業界のIT化が話題になることが多いですが、コンテックも遅れながらも着実に進んできています。コンテックがどのような影響を与えているのか少し紹介したいと思います。 AIによる地盤調査結果の予測や、衛星によるレーダー測量など大規模な技術も開発されていますが、特殊な現場での活用に限定されており、業界全体の変革とは言えません。建設業全体において見られ始めている変化として、現場でi-Padのようなタブレット端末を多く見かけるようになりました。スマートフォンに比べ、大きな画面で操作がしやすく、画像や図面を映し出すことで作業員や施主への説明がしやすいため、利便性が向上しています。工程表の確認なども一つの端末で行えるため、導入している会社も多いです。さらに画面を大きくして、デジタルサイネージを設置している現場も増えてきています。タブレット端末のように持ち運ぶことはできませんが、より大きな画面で図面や映像の確認ができ、タブレット端末やスマートフォンを連動させることも可能で、朝礼看板の代わりに設置する現場も増えてきています。外向けに設置することにより、付近の子供向けのアニメーションを流すことで、いままでの工事現場のイメージとは違ったものを近隣住民へ与えることができます。現場写真の撮影にIT技術を導入している現場も多いです。写真の管理はどこの現場でも大変な作業ですが、AIが自動的に編集してくれるものや、クラウドを利用して管理することで写真撮影を容易にすることができます。 金融業界やサービス業界に比べ、IT技術の導入が遅れている建設業界ですが、今後はコンテックが進むのは間違いないでしょう。大手企業は独自の技術開発も進めており、すでに様々な技術を現場に導入しています。中小企業であっても、この流れに乗り、建設業界の未来を切り開いていくことが重要です。
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Questar

見える化アプリ開発、業務用アプリ開発、オフショア開発会社として、2012年クエスタ株式会社設立された。建設業界の現場のニーズに応えるIoTをハードウェア、ソフトウェアの両面の開発。