工事現場の可視化

工事の品質・安全予防策を高める為の「目で見る管理」のやり方とポイント

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見える化=「目で見る管理」の目的と効果について

工事の品質を高め、安全予防対策を高めるために見える化は役に立ちます。
コンサルティングをしてきた観点から見える化の目的と効果を知れば、見える化を役立てる方法が見えてきます。見える化は人に行動を起こさせ、その行動によって何か違う方法を誘発させます。現場では何のために見える化するのか、その目的は大きく分けて5つあります。5つの目的ごとの方法とポイントを紹介します。

    目次

  1. 異常を見える化して安全管理
  2. 知識や体験を見える化して知恵の共有
  3. 方針を見える化して良い労働環境を作る
  4. 状態を見える化して自戒させる
  5. ムダを見える化して生産性を高める

1、異常を見える化して安全管理

パトランプ

安全管理とは、事故が発生する前または、事故が起こりそうになる前にその事実を予知して事故発生の予防をしたり、目的を確実に達成させるために行われる予防処置を繰り返すことです。
予防処置を開始するためには通常とは異なることを見える化しなければなりません。異常とは、正常ではない状態のことをいい、そのまま手を打たないと問題が発生したり、事故となることが明確である状態にあるということです。
異常を見えるようにするためにはまず、正常を定義します。問題の発生を左右する場所や、行動の正常な状態や作業の完遂に繋がる行動状態を明確にします。そして、その状態から外れた状態を異常と言います。

2、知識や体験を見える化して知恵の共有

KY事例の絵

1人が何かの知恵や体験を得たとします。
その知恵や体験を活かして次の日から仕事をしても作業所全体から見れば、1つの知恵や体験が1箇所で使われたことにしかなりません。もし、この知恵や体験を100人で共有したとすれば、1つの知恵や体験が100箇所で使われることになります。
知恵や体験を共有するためには、お互いに知恵や体験を分かり合えなければなりませんが、個人のもつ知恵や体験の多くは、頭の中で暗黙知となっていてそのままでは人に伝えることができません。暗黙知となっている知恵や体験を、見える化=形式知化して人に伝わり、共有できるようにすることが必要になります。
また、人は刺激を与えられることによって知恵を生み出すことがよくあります。知恵と知恵が繋がることによって、効果が数倍になることもあります。個人のもつ知恵を互いに見える化して刺激し合い連鎖させることによって、1つの知恵が数十倍以上の価値を生み出します。

3、方針を見える化して良い労働環境をつくる

作業方針の絵

現場内には、安全協力会という組織がありながら、実際には組織が機能していない場合もあります。
本来、組織とは共通の目的・方針のもと一致協力して、知恵を共有し有機的に連携して行動する集団です。しかし、個の集団とは1人1人が異なる目的・方針をもち、個々バラバラに行動している集団であり、知恵の共有も行動の連携もありません。たまたま同じ場所で、同じ目的のための違う作業をしているだけです。個の集団は、個人の能力の総和が集団の能力にしかなりませんが、組織は個人の能力を互いに利用し合い、高め合う関係にあることから、個人の能力の積が組織の能力となります。現場の安全力を高めるには、個の安全意識の向上の集結とならなければなりません。
そのためには、安全協力会の職長が自ら目的・方針を示し、個の知恵を共有し連携した行動のできる「組織」を作っていかなければなりません。

4、状態を見える化して自戒させる

不安全行動の絵

自戒とは自ら考えて行動するということであり、目的に向かって自分たちのやるべきことを明確にし行動を開始し、目的に対する自らの行動の適切性を確認して調整していくことです。
自ら考えて行動する作業員を醸成していくには、自分たちの考えていること、行動していることの今、この瞬間の状態を客観的に見ることができなければなりません。今、自分たちは何のために何に向かっているのか、どこまで進んでいるのか、方向はズレていないか、目的はどの程度達成されているか、問題は発生していないのか、などです。
目的に対する自分たちの活動の今の状態を見ることができなければなりません。

5、ムダを見える化して生産性を高める

ムダの見える化の絵

生産性の高い仕事とは、作業価値を高めることのできる仕事です。作業価値を高めるには、その作業価値そのものが何であるか分からなければなりません。昔は価値があったものでも、現場の求めるものが変わり、進化した今では、価値の無いものになっているかもしれません。価値が無くなったことに気づかず習慣でやっている。そして、報われないということになっていないでしょうか。
今、そして明日の社会が求める作業価値を認識して、それを高めることが生産性向上となります。
作業価値は日々変化し、進化していきます。その変化や進化を捉えていくことが価値を認識し続けることです。価値の変化や進化を捉えるには、価値の反対側、つまりムダを認識することです。
今やっている仕事は、現場に価値を与える貢献度が低下していないかを検討し、やめてみてその影響から価値の大小を探っていくのです。ムダを認識できるようにすること=ムダの見える化を行い、そこから価値に対する認識を深め、それを高め得ることを追求していきます。

某建設コンサルタント

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