コンテックの意義と重要性 建設業界向けのITサービス・アプリ紹介

コンテック 造語の由来

みなさんは『コンテック』という言葉をご存ですか。少し前に『ファインテック』という言葉が取り上げられましたが、これは、IT(情報技術)を駆使した金融サービスの創出のことで、金融(Finansial)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。例えば「スマホ決済」などもファインテックの技術を使ったサービスになります

『コンテック』は、これと同じように「建設」と「技術」をかけて生まれた造語になります。

この記事ではコンテックを使った具体的なITサービスをご紹介していきます

  • 建設業界のIT化について
  • コンテック(Con-Tech)とは「建設」と「技術」をかけて生まれた造語をコンテックといいます
  • ITを使った新しいサービスのまとめ最近登場している建設業界向けの便利なサービスやアプリをご紹介いたします
  • 建設業界にIT化が進まない理由なぜ建設業界にIT化が進まなかったのでしょう。作業員さんの年齢と建設業界の構造から考えてみました

建設業界向けのITサービス

フィンテックに代表される金融業界のIT化が話題になることが多いですが、コンテックも遅れながらも着実に進んできています。コンテックがどのような影響を与えているのか少し紹介したいと思います。

AIによる地盤調査結果の予測や、衛星によるレーダー測量など大規模な技術も開発されていますが、特殊な現場での活用に限定されており、まだ業界全体の変革とは言えません。

建設業全体において、顕著に起きている変化として、現場でiPad端末を多く見かけるようになりましたね。スマートフォンに比べ大きな画面で操作がしやすく、画像や図面を映し出すことで作業員や施主への説明がしやすいため、利便性が向上しています。iPadを中心にした施工管理アプリや図面・写真の共有サービスが台頭しています。

建設業向けに登場した「コンテック」を用いた新しいITサービス

プラットフォーム型サービス

クェスタのサイネージ…朝礼看板に設置する巨大モニターには、ラジオ体操動画、PDF図面、各種画像、週間工程表、熱中症指数の表示、天気の表示などが行える。また簡単にiPad画面をミラーリング表示出来るので各WEBサービスをまとめるプラットフォームとして利用が可能。現場PCより簡単に情報の更新が行える。


IoT型分電盤

遠隔分電盤操作「JITAN SWITCH」…PCやスマホから分電盤スイッチのON/OFFが行える仮設分電盤の遠隔管理システム

施工管理に便利なサービス

ANDPAD…施工品質管理が出来るアプリケーション(写真・資料管理、日報、工程表、チャット機能)

ダンドリワーク…電気屋さん、ガス屋さん木工屋さん等、今までばらばらにFAX・電話・メールで行っていた連絡を一元化して情報共有を助けるクラウドサービス

IMPACT…クラウド型建築施工管理支援システム。様々な帳票類を作成してクラウドに保存し情報共有ができる

ieell.jp…電話、FAX、紙でやりとりしていた全てのデータをアプリで管理。顧客情報や写真の管理のほか、見積もり書の作成や工程表作成機能あり
eYACHO…現場監督の現場業務をデジタル化して業務効率と業務品質の向上を実現。
自由な手書き、音声や写真、動画を活用して現場の状況を記録。TODO管理・帳票作成・打ち合わせ記録・情報共有など


建設現場と工事会社や職人のマッチングサービス

助太刀…居住地を登録すると現場情報が送られてきたり、忙しい時に作業スタッフを募集出来る。チャットや代金の即日受取などの機能もあるアプリ

ツクリンク…元請け・下請け・協力業者を見つけられるWEBサービスです

職人さん.com…元請け・下請け・協力業者を見つけられるWEBサービスです


(仮囲いに設置したクェスタのデジタルサイネージ)

朝礼看板用のサイネージを仮囲いに設置することも可能です。週間作業予定をデジタルで管理するだけでなく、工事理由を説明するアニメーションを流すことで、住民の皆様に工事への理解を深めて頂く事も可能です。タイマー機能を使えば、決まった時間に画像や動画を表示する事も出来ます。タッチパネル式なので、例えば建設予定のマンションの仮囲いに設置して、完成予想図を確認して頂いて、そなまま資料請求やモデルルームへの見学予約を行うQRコードを表示するような仕掛けをすることが出来ます。

現場写真の撮影にIT技術を導入している現場も多いです。写真の管理はどこの現場でも大変な作業ですが、AIが自動的に編集してくれるものや、クラウドを利用して管理することで写真撮影を容易にすることができます。

金融業界やサービス業界に比べ、IT技術の導入が遅れている建設業界ですが、今後はコンテックが進むのは間違いないでしょう。大手企業は独自の技術開発も進めており、すでに様々な技術を現場に導入しています。中小企業であっても、この流れに乗り、建設業界の未来を切り開いていくことが重要です。

建設業界へ押し寄せる先進化の波

業界によってはずいぶん昔からIT技術を活用し、利便性が向上していたのですが、建設業界のIT化はかなり遅れていました。これだけIT技術が発展した現在においても、未だにFAXや紙の伝票を使用していたり、手書きで作成する書類があったりします。建設業はものを作る事業であるため、実際に人の手や目で作業をすることが多くなるのは理解できますが、他の業界に比べて、あまりにもIT技術の利用が遅れているように感じます。

業界のIT化が進まないことに焦りを覚えた国は、コンテックを進めるために、i-Constructionという活動を推奨し、IT技術の導入による生産性向上を目標にしています。建設投資額は、平成28年度は約52兆円で、かなりの規模の業界です。建設業就業者数も500万人近くいます。こういった大規模な業界の改革を国も進めたいと思っています。

i-constructionについてはこちらの記事もご参考に

なぜ建設業界にIT化は進まなかったのか

なぜ、建設業界のIT化は進まないのでしょうか。何点か理由はあるものの、大きな理由は2つあると私は考えています。

1.現場作業員の年齢の問題

一つ目は、現場作業員の問題です。かつて3K(きつい、危険、きたない)と言われ、若者に人気がなかった現場作業員ですが、現在でも人気がある職業とは言えません。業界全体として若者の就業率が低く、平成28年度現在で33.9%となる約3割が55歳以上となっています。全産業での55歳以上の割合は29.3%なので、他の産業に比べ建設業界の高齢化が著しいことがわかります。

同様に29歳以下は11.4%と約1割に留まり、全産業の29歳以下の割合である16.4%を大きく下回っています。IT技術の利用はどうしても若者を中心に普及しやすく高齢化した作業員が多く、若者の少ない建設業界では普及しづらいのも納得できます。

また、人材不足を解消するため外国人技能実習生として外国人労働者を受け入れている現場も多くありますが、こういった外国人に最先端のIT技術の活用を期待するのは難しいです。

2.建設業界の構造の問題

二つ目の理由ですが、これは建設業界の構造に原因があるのではないかと思います。「重層下請け構造」と呼ばれる構造で、発注者と、受注するゼネコンと、その外注先の複数の下請け業者が存在します。大きな工事になればなるほど、上流過程と現場との間に何社も介在することになっています。

また、平成28年度の建設投資額約52兆円の内、民間投資額は30兆円で、政府投資額が22兆円となっています。建設工事は公共工事が多いため、これはほかの産業には見られない特徴です。公共工事の発注は行政機関が行い、工事内容を含む仕様については行政機関が設定します。

2016年に国土交通省が導入した「i-Construction」以前には、工事に最新技術の導入を条件とする行政機関はほとんどなかったように思います。どうしても最先端の技術は民間から官へ広まっていくものですので、公共工事の割合が高く、上流と現場の間に数社介在する建設業界ではIT技術の導入は遅れてしまうのでしょう。

その他にも理由はあると思いますが、コンテックが普及しないのは、この二つが大きな理由だと考えます。それぞれの理由に対する解決策を模索し、さらなるコンテックの普及を行うためにはどうすればよいでしょうか。

建設業界がITを取り入れて革新するために

現場作業員の高齢化や人材不足を解消するためには、若者に人気のある職業として新規人材の確保が重要です。そのために政府が主導となり建設業界の働き方改革も進めています。完全週休2日制を目指す動きが盛んで、国が発注する工事においても、『完全週休2日制が条件』となっているものが出てきました。

国土交通省が全国8ブロックで開催する2018年度の上期「ブロック監理課長等会議(入札契約担当課長会議)」でも、テーマは担い手3法の着実な運用と週休2日制の推進です。

国土交通省の「週休二日制を応援するサイト」

こうした働き方改革や賃金の確保により新規人材の流入を期待したいですが、これは一朝一夕でどうにかなるものでもありません。

新規人材の教育も必要で、解決に時間がかかる問題です。では、当面どう対処するのか。現在の人材で事業を進めていくことになりますが、コンテックによるIT化を拒否していては他の産業や業界内で後れを取ることになります。他の業界はフィンテックに代表されるIT化を進め、そういった業界は若手人材も流入しています。週休2日制等の働き方改革を実行するためにはIT化による高効率化が不可欠でしょう。

公共工事の落札条件にもi-Construction が追加されつつあります。IT技術を受け入れる必要があると同時に、高齢化した作業員や外国人労働者でも扱いやすいIT技術の開発が求められます。

コンテックの意義と重要性

二つ目の問題である発注者側の意識改革ですが、これ徐々にですが解消されつつあります。先述したように、週休2日を条件にした現場やi-Constructionを条件にした公共工事が増えてきています。まだまだ、国が発注する大規模な工事に限定されていますが、今後は都道府県や市町村レベルの工事にも波及する流れになっているので、近いうちに当たり前の条件となるでしょう。

総合評価方式の入札も増えており、今までの価格だけの入札から、最新技術の導入や環境への配慮が重要になってきています。このことからも、コンテックの波に乗れない企業は淘汰されていくことになり、さらに業界のIT化は進んでいくことでしょう。これは、他の業界がすでに経験した流れであり、公共工事が多い建設業界は数年遅れて同様の流れが来ている訳です。

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